パンツをはいたサル

栗本慎一郎『パンツをはいたサル』読了。

 ポストモダン思想全盛期の80年代を代表する一冊。経済学者である著者が、ポランニーの経済人類学の文脈で社会を語る。

 人間は、他の動物に比べ「過剰」を内包する生物である。例えば、戦争による大量殺戮や生殖の伴わないセックスなどはその最たるものであるが、社会を安定して運営するためには、この「過剰」を押さえ込む必要がある。深層的欲求としての「過剰」によって社会を崩壊させないため、人々は祝祭をはじめとする「過剰」を「蕩尽」する場を設け、日常で「過剰」が発露することを防ぐ。

 一貫して、この経済人類学のパースペクティブから社会を切る本書の姿勢は、明快であると同時にある種の格好良さも感じる。

 しかしながら、やはり眉唾ものの議論も多く、じゃあ結局どうすれば良いのだ、という読後感が残るあたりがいかにも構造主義的に思える。

パンツをはいたサル―人間は、どういう生物か

パンツをはいたサル―人間は、どういう生物か