日暮硯
『日暮硯』読了。
最近、江戸時代の藩政改革に関する本をよく読む。地域活性化のヒントがそこにあるような気がするからである。
『日暮硯』は、信州松代藩の家老、恩田民親(恩田木工)による藩政改革の様子を、後世の藩士である馬場正方が、説話集として残したものである。内容の真偽はさておき、当時の仁政のイメージがよくわかる面白い古典だ。
木工の政策は、おおまかにいって1:財政再建のための減量経営、2:倫理観の向上による子弟と役人への教育政策、の2本柱である。当時の革新的な藩政では、たいていこの2つが中心となる。他藩の例でも、後はせいぜい殖産興業とそれにともなう軍備増強が加わる程度か。
江戸時代の日本では、マキャベリズムのような近代的な政治思想はほとんど見られない。儒教道徳が浸透しているからか、倫理と政治が切り離せないものとなっている。明治時代以降の近代日本で、この傾向がどう影響しているのか、今後そのあたりも考えていきたい。
※『日暮硯』(岩波文庫)は古文(ただし、非常に簡単)での収録であるため、読んでいてしっくりこないという方には、池波正太郎『真田騒動』をお勧めする。
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