『夜間飛行』&『「やめること」からはじめなさい』

サン=テグジュペリ『夜間飛行』読了。
 飛行機による夜間配送という新規事業にかける、パイロットたちの職業倫理と誇りを描いた作品。職人としての資質の美しさが人の胸をうつのは、技術以上に、その心構えによるところが大きいのだろう。

夜間飛行 (光文社古典新訳文庫)

夜間飛行 (光文社古典新訳文庫)

千田琢哉『「やめること」からはじめなさい』読了。

 今年9月に創刊されたばかりの「星海社新書」からの一冊。この星海社新書のラインナップは、謎の肩書きの著者が多く、とても胡散臭い。しかしその怪しさが、大学受験予備校で感じたものと同じ高揚感をかき立てるので、僕はこのシリーズに期待している。

 さて、本書の提言を一言で表すならば、「目的化している手段を見直せ」ということに尽きると思う。形式としては、具体的な事例を51個挙げ、それがいかに機会費用の損失に繋がっているかコメントしている。概ね真っ当なことを言っていると思うが、特に目新しい内容ではない。日々用事に追われて焦っている人は読んでみてもよいかもしれない。年の暮れでもあるので、この本を叩き台にして、今年1年の反省点を挙げてみようと思う。以下の各トピックス横の括弧は本書が取り上げているやめるべきことである。

・睡眠不足(眠いのを我慢するのをやめる)

 僕は読書が好きだが、仕事に慣れてきたこともあって、今年は日が変わってからもだらだらと本を読み続けることが多かった。読書量が増えたことは良かったが、日中のパフォーマンスは確実に落ちた。睡眠は投資であることを胸に刻み、来年は12時までには寝床に入るようにし、十分な睡眠を心がけたい。

・体調不良(同上)

 年末に体調を崩し、手術(非常に軽易なもの)と内視鏡検査を経験した。結局のところ、これも睡眠不足からくるものだと思う。後は、重症化する前に早目の受診。この大切さを痛感した。

・簡単に折れすぎた(気を遣うのをやめる、愛想笑いをやめる)

 特に職場の同僚や上司にであるが、相手を尊重しすぎるあまり、非常に損をした1年だった。言うべきことを主張しないことは、自分への裏切りである。

・肩書きに翻弄された(名刺に頼るのをやめる)

 区役所の職員であることに妙に引け目を感じ、一個人として積極的に活動することができなかった。これは自分が逆の立場(権限のある立場)になった時に、肩書きで人を差別することに繋がりかねない。あってはならないことだ。

・縁を大事にしなかった(まあまあ好きな人とは付き合うのをやめる)

 逆に言うと、本当に大切な人との縁を大事にしなくてはならないということである。今年に限らず、就職してから、持ち前の不精で大切な友人を何人か失った気がする。自業自得だが、本当に残念であり、申し訳ない。

・読まない本を買いすぎた(使わないものを部屋に置くのをやめる)

 今年も本棚が2つ増えた。一向に貯金できない。

 1年間の区切りとして反省すべき点を見直し、来年に生かしていきたいと思う。それでは、今年も残り僅かですが、皆様、良いお年を。

「やめること」からはじめなさい (星海社新書)

「やめること」からはじめなさい (星海社新書)